ドラマの世界で、弁護士や銀行員が主役になったことがありましたが、行政書士も主役になったことのある職です。しかし、現実の探偵が推理小説の探偵の様な事件を解決することがない様に、ドラマで見せている行政書士は一般的ではありません。では、多くの行政書士はどんな仕事をしているのでしょうか。
行政に出す書類作成のプロ
まじめな言い方をすると、「役所に提出する書類などの作成・提出手続きの代理」「遺言書や契約書の権利・義務に関する書類の作成」「定款や議事録などの事実証明に関する書類の作成」となります。少し分かりづらいかもしれませんが、基本的に「書類の作成と提出の代理」「各種書類の作成についての相談」がメインの仕事です。
行政書士は、行政機関に提出する書類なら作成できる仕事になります。だから「行政」書士なのです。行政機関はかなりの数があって、建設業やら飲食業など、様々な職業を行う時にえる許可は、全て関係する行政機関が出してます。そういったところに提出する書類を作れる上に、提出まで代理でしてくれるのですから、想像するだけで忙しそうです。
権利や義務に変化がある書類が作れる
法律に準ずる、自分や周りの人を含め、権利や義務に変化が生じるかもしれない文章を作成できるのが行政書士です。分かりやすいのは遺言状です。遺産相続というのは、法律で配分が決まっています。配偶者と子どもが一人ずつの場合、配偶者と子供の相続割合は一対一です。綺麗に半分です。
その中で、遺言状が作成され相続について書かれていた場合、その遺言に書かれた配分に応じて遺産が分けられます。これは、自分と家族の権利関係が、遺言状によって変化したことになります。
契約書なども同じで、契約によって当事者たちが何らかの利益や権利を得て、同時に何らかの義務を負います。契約書が作成されたことで、権利関係に変化が起こったわけです。行政書士が作成した公文書として残されるこれらは、公的な文章という扱いを受けますので、強力な実行力を持ちます。大事な約束をする時に行政書士に頼んで書面にしてもらうことがあるのは、こういった理由からなのです。
本人の代理を務めることが可能
行政書士は、依頼を受けることで代理事務業を行うことができます。10数年前までできなかったようなのですが、今では本人の代わりに書類を作成するだけでなく、委任状があれば役所の窓口で本人にかわって申請が可能になっています。
契約などに関する書類も、代理人として作成することができます。場合によっては相手方と契約内容についての協議を行うこともできますし、そのまま契約締結まで行うことも可能です。もちろんこれらの場合、委任状があるとはいえ代理人としての責任が発生しています。また法の解釈の差で、契約の締結の様なところまでは行わないという行政書士の方もいます。
とはいえ多くの場合、役所に提出する複雑な書類を作ってくれて、煩雑な上に複雑な手続きを代理として行ってくれるというのは、平日の日中は仕事で市役所に行けない、という働く人々にとって、大きな助けになっていることでしょう。
行政書士が普段行っている業務の範囲は、とても広いものです。それは、人々の生活に密接に関係した職業だということでもあります。例えば、ある地域でお店を開く人はだいたいその地域の行政書士のお世話になっているでしょう。ですから、行政書士はその地域にあるお店の種類と数だけ、多くの事例を知っていることになります。トラブルもあったでしょうし、その中には行政書士の働きで解決したものもあったでしょう。行政書士は「地域の頼れる法律家」です。許認可申請や届出、書類の作成やそのアドバイスなど、様々な場面で力になってくれるはずです。