ビジネスで重要になってくる企業内弁護士とは?
企業が法務部門を任せるために雇用した弁護士を“企業内弁護士”といいます。弁護士といえば、自分で法人を立ち上げる独立企業型が多いイメージですが、昨今のコンプライアンス徹底の流れやグローバル化に対応するため、大企業を中心に企業内弁護士を採用する傾向が高まっています。企業内弁護士とはどんな人なのか、見ていきましょう。
企業内弁護士が増えてきた背景
日本組織内弁護士協会の調べによると、全国560の企業に1080人の弁護士が在籍しています(2013年12月調べ)。10年の間で一気にその数は10倍まで増えている勢いで、今後もその傾向は強まることが予想されます。
それまでは、企業訴訟に対応してくれる法務のスペシャリストは、普段は法律事務所に籍を置く顧問弁護士というのが主流でした。それが、海外企業との取引やM&Aの事例が急増し、グローバル化の波が押し寄せる中でさまざまな法務リスクに対応するため、高い実務能力と法律知識を備えつつ、社内事情にも精通している企業内弁護士に対応させるという風潮が強まってきました。この動きは外資系企業に止まらず、国内の企業も業種を問わず自社内で弁護士を雇い入れる動きが加速しています。
企業内弁護士に求められるスキルは?
企業内弁護士を採用する会社が増えてきたことに伴い、求められるスキルや役割も多様化しています。訴訟対応や法務部門の実務がメインの企業内弁護士ですが、近年では新商品の企画開発やサービス開発の部門を任される例も増えています。企業内で活躍する弁護士は、法律に精通しているだけでなく、企画開発や営業開拓に携わることで、現場の活性化や業務拡大への役割も求められているのです。
今後さらに司法制度改革などの動きによっては、法曹人口が増え、それに伴い企業内に籍を置く弁護士が活躍する場はますます増えていくことが予想されます。弁護士という職業が、私たちにとってもっと身近な存在になるかもしれません。