駐車場経営をお考えの方へ
「持っている土地を活用して収入を確保したい」。そんな目的から駐車場経営をはじめる方が増えています。駐車場経営と一口にいっても、駐車場の種類や、運営方式によって収益率や必要な自己資金も変わってくる点に注意が必要です。今回は、駐車場経営をはじめる前にぜひとも押さえておきたい基礎知識をご紹介。「どんな運営スタイルがよいのだろうか?」とお悩みの方は、ぜひ参考にして下さい。
さまざまな駐車場経営の種類
駐車場の種類によって経営の方法が異なります。土地の広さや立地などを考慮した上で、どんな運営がベストか見極めることが大切です。
月極駐車場
月単位で契約して賃料を受け取る形式が、月極駐車場です。駐車枠1台ごとに賃貸契約を結びます。多くの場合、オーナーは不動産会社に手数料を払って駐車場の広告や利用者の募集を行っています。この方式を「管理委託方式」といいます。イメージとしては、賃貸マンションを持つオーナーが不動産業者に委託して入居者の募集を行う経営スタイルに近いでしょう。
コインパーキング
「30分ごとに100円」「1時間ごとに150円」というふうに、時間単位で料金を徴収する駐車場運営システムが、コインパーキングです。「時間貸し駐車場」とも呼ばれます。
コインパーキング運営では、ロック板や出入場管理システム、精算機など専用の設備を導入しなければなりません。多くのオーナーは、管理や募集を不動産業者に委託する方式で運営しています。
設備などの初期投資をオーナー自ら行う場合もあれば、業者に依頼するケースもあります。後者の場合、初期費用の負担が少ない分、業者に毎月一定の手数料を支払う必要があり、リターンが少なめになるのが実情です。
日貸し駐車場
1日単位で料金を徴収する駐車場運営システムです。商業施設や娯楽施設など、利用時間を気にせず借りたいというニーズに適した駐車場といえるでしょう。中には、コインパーキングを基本にして、行楽客の多い休日のみを日貸し駐車場として開放するなど、フレキシブルに対応する運営ケースも見られます。
平面駐車場
精算機もロック板も、出入場ゲートもない、駐車のスペース枠を引いただけの駐車場で、「青空駐車場」とも呼ばれます。設備導入の初期費用がかからない点が大きなメリットです。無人経営も可能で、人件費の圧縮も可能。少ない資金で駐車場経営をはじめたい方に向いた運営スタイルですが、手狭な土地面積だと収容台数も限られるため、莫大な収益は期待できません。
立体駐車場
立体駐車場の運営では、建物の階数や駐車場の広さに応じて収容台数を増やせるのがメリットです。これには、車が自走して建物内に駐車する「自走式立体駐車場」と、昇降機を使って車を駐車スペースまで移動させる「機械式立体駐車場」の2種類があります。
収容台数が多い分、ニーズの高い地域であれ大きな収益を見込めますが、大がかりな投資が必要であり、本格的な駐車場事業を考えている方に向いた運営方式です。
自己経営と運営委託の違い
駐車場経営には、オーナーが設備の導入から利用者の募集、駐車場の管理まで行う「自己経営方式」と、不動産業者に管理全般を委託する「運営委託方式」のふたつの方法があります。
自己経営方式
その名の通り、設備の導入から土地の管理まで、オーナーが主体的に経営を進めなければなりません。この経営方式で大きな課題となるのが、初期費用でしょう。利用者がいないことにはいくら土地があっても収益は生まれないため、利用者募集のための広告費も自己負担しなければなりません。また、機械の設置や料金の回収、保守点検、防犯対策、トラブルが起きた時の対応まで、すべてオーナーの仕事となります。そのためのノウハウや知識も必要となり、周到な準備と計画がなければ運営を継続させることはできないでしょう。
運営委託方式
不動産会社など、土地活用ノウハウを持った業者に運営を委託する方式で、土地を貸し与える代わりに駐車場の収益管理一切を任せることになります。低い自己資本率で経営がスタートできますが、自己経営と比べて収益率は低くなります。手持ちの資金が少ない場合に適した運営スタイルといえるでしょう。
また、運営委託方式の中でも「一括借上方式」であれば、駐車場の利用状況に関係なく、契約業者から毎月一定額の賃料が支払われます。そのため利用率が悪くても収入が大きく落ちこむリスクは避けられますが、業者に支払う管理手数料は割高となります。
資格や登録、税金について
駐車場経営をはじめるうえで、必要な資格や許認可などはありません。登記変更の届け出も特に必要なく、基本的に土地があれば誰でも経営をはじめられます。ただし、立体駐車場として必要な工事や建築を行う場合は、建築基準法の範囲内で建築しなければなりません。
駐車場経営をはじめたことで一定の収益が発生すれば、不動産所得として税務署に確定申告する必要があります。
サラリーマンが副業で土地を活用し、収入を得たとしても、年間20万円以上の収入があれば確定申告の義務が発生します。どんな運営方式でも多額の収益が発生すれば課税対象となりますので、納税の義務も守った上で健全な土地活用を心がけて下さい。