日本国内には様々なサービスが存在していますが、手の届かないところまで周到に考えられた日本人のサービス性の高さは、国内外でも評価が高いそうです。このように高評価のサービスを享受している日本人ですが、その日本人の中には社会的ストレスの増加により、執拗なクレーム電話をかける人がおり、その増加は問題となってきています。

誰もが起こす可能性があるクレームは、特に電話というお互いが見えない状態ですと、口調が激しくなりがちです。ここでは相手の気持ちを沈めるクレーム対応方法のテクニックをチェックしましょう。

クレーム対応のポイント

相手の気持ちを沈めるテクニック~耳を傾ける

電話が掛かって来た内容がクレームだとわかった場合、何よりも大切なことは、電話の向こうの顧客のクレームに真剣に耳を傾ける(傾聴する)姿勢をとることです。しかし、単に耳を傾けてもう一方の耳から筒抜けでは意味がありません。クレーム処理の基本的なテクニックは、まず確実な内容の理解にあるのです。

まずはしっかり話してもらう

人間は人の話に口を挟むことが好きです。これがクレームの内容となればつい言い返したくなってしまう場面もあるでしょう。しかし、クレームであれば絶対に口を挟まないようにしましょう。まずは相手に言いたいことを言ってもらいことが先決です。

対応する側は軽く相槌を入れながら、内容を詳しく書き留めることで処理の準備ができます。まずは、相手に不満をひたすら話してもらい、相手が疲れて話すことがなくなるまで聞くのもテクニックの1つです。

相手の神経を逆立てるような余計な反論はしない

相手がクレームを言っている最中に、時折耳障りで不愉快になるような言葉も言われることもあるでしょう。これに対しては、相手の神経を逆立てないように余計な反論はしないようにしてください。

クレームを言う方の心理状態は、「これだけ不満なのだから言わせろ」という気持ちに他なりません。とりあえずは受け身で始めることです。

クレーム電話の相手の気持ちを沈めるテクニック~丁寧な対応

人によっては、自分の言葉遣いや態度で悪いことをしてしまったかなと思う方もいらっしゃるため、相手が丁寧に対応しているうちに徐々にトーンダウンしていきます。それは、自分とクレームに対応する側のトーンに大きなギャップを感じるためで、そのうち違和感を覚えてくるようです。それほど「クレームに対する丁寧な態度をとること」は効果的で、重要なテクニックとなるでしょう。

腹が立っている点について相手の身になって思いやる

話し続けると、次第に内容も同じことの繰り返しになってきます。これは、強調したいことがその部分であるということを示しているからでしょう。同じことを繰り返していくうちに話すスピードが遅くなり、それまでより間が空く場面が増えてきますので、対応する側から声掛けがしやすくなります。

この段階で「申し訳ありません」とか「大変でしたね」などの思いやる言葉を的確に入れると良いでしょう。

上司や担当者に伝えて対応を協議することをきちんと話す

電話口からの様子が落ち着いたものになってきたら、クレームの内容を基に上司や担当者に伝えて対応を協議させる旨を話します。相手にとっても、担当者のいない中でしっかりと対応してくれたスタッフに対して悪い印象は持ちません。ただ、不満自体は消えていないはずなので、問題を解決する具体策を話せば、納得してもらえる可能性は高くなるでしょう。

クレーム電話の相手の気持ちを沈めるテクニック~アメとムチ

クレームの電話に対する3つ目のテクニックは、その方のために出来ることと出来ないことを上手に伝えることです。内容によっては明らかにクレーマー側に非があることも少なくはなく、これを指摘してしまうと解決どころかクレームがさらに激しくなる可能性もあります。そのため、対応には「アメとムチ」によく似たメリハリが求められるでしょう。

後日担当の者からきちんと電話連絡させることを約束する

クレーム内容をしっかり聞き謝罪をした後、さらに「こちらから上の者に電話をさせます」と担当者から確実に連絡を入れさせることを約束することも大切です。これは、相手がわざわざ電話を掛けてきてくれたのですから、後日確実に担当者から返答をすることがクレームの拡大防止に繋がりやすいからです。

結果的にどうしようもない場合もある点を自然に付け加えておく

そして、注意しなければならないのは、「担当者には伝えますが、最終的にご期待に沿えないこともあることご了承ください」といった内容を「さり気なく」伝えておくことです。

クレームの対応と言っても、できないことについてできると返答するのは危険です。それでは新たなクレームを生みますし、不可能なことについては毅然とした態度を示すべきでしょう。

クレーム電話を掛けてくる相手の気持ちの本質はここにある!

クレームとは本来誰も好き好んでしたくないもので、それを敢えて行動に出してくるのは抑えられない何かがあるからです。そのクレームに対応する側にもクレームの本質を理解できていないために、相手の怒りがより酷くなったというケースは多々あります。

クレーマーは基本的に話を聞いてもらいたくて電話を掛ける

クレーム電話を掛けてくる方の大半は、とりあえず言ってみようという気持ちがあります。言わなければ自分の気が済まないという心理状態もあって、それが結果的にクレームとなるのです。

電話でのクレームだけでなく現場でのクレームでも、とりあえず頭を下げることで「聞いてもらえた」という満足感を得て落ち着いてもらうという効果を発揮しますので、話を聞いてくれないことのストレスは相当なものになります。

自分がないがしろにされていないことを言葉と態度で確認したい

クレーマーの心理の大きな特徴として、被害者意識が原因になっていることが挙げられます。「自分のことを馬鹿にされた」「軽く扱われた」といった気持ちが増幅してクレームとなり、そうではないということを誰かに言葉で言ってももらうことで収まるケースがほとんどです。

時折、サービスとはまったく関係のない感情的な要素でクレームを言ってくる方もいますが、相手の立場に立って理解しようとすると対応しやすくなります。